国家が予算をかけている人工知能は経済面や軍事面に大きな影響を与える

 

2045年は「技術的特異点(シンギュラリティ)」と予測されている年であり、人類が親となって生み出した子どもの人工知能が、親を超えていく年となると言われています。

人工知能が人工知能を生み出していく、まったく未知の世界に突入するというもので、ほんの十何年前までは、SF扱いをされていたような論説が、あと30年弱で現実となる可能性が非常に大きくなっています。

人工知能の世界に乗り遅れるな、1歩でも先に進んでおきたいと、学者や企業がこぞって力や知恵を結集した取り組みに本腰を入れており、日本でも人工知能業界の1位獲得を目指して国家予算を組み、国を挙げて取り組んでいます。

 

世界各国が国として人工知能分野に力を入れている理由としては大きく2つあります。それは経済面と軍事面です。

 

 

世界各国において、人工知能が経済面に与える影響

 

人工知能分野の研究は、欧米が先陣をきっていますが、日本においても2016年に次のような試算が発表されました。総務省情報通信政策研究所がまとめた結果によると、人工知能の経済効果は2045年に121兆円、実質GDPは68兆円増加するというものです。

 

人工知能のわかりやすい進化の例では、2020年に言語を理解し、2030年に汎用執事ロボが広まるということを挙げ、予測検討をした16の産業分野においては、2020年~2030年にかけてあれもこれもと変革が急速に進むという見通しを出しています。

こ の日本1国だけでも人工知能によって経済面でこれだけの変化を遂げることがすでに予測として出ているわけですから、世界各国の規模において同様のことが同 時に起き始めたら、パソコンや携帯が普及した時と比べものにならないほど、劇的な変化が起こることは安易に想像がつきます。

具体的に人工知能はどのように経済に影響を与えるのでしょうか。

まずは、エネルギー問題の解消が大きく考えられます。

人工知能を応用することで、高性能蓄電池システムによるピークシフトの実現や、様々な発電効率の改善、さらには新たなエネルギー創出などが可能になり、無限のエネルギーを取得することができると言われています。

無限のエネルギーが手に入れば、大規模で高効率な養殖が可能になり、植物工場では大量の繊維を増産することができ、食や衣がゆくゆくは無料の時代がやってくるとされています。

人工知能が与える影響は国内でのメリットだけでなく、自国にその技術があれば国外へも影響を与えることから国単位で力を入れているのです。

 

 

 

世界各国において、人工知能が軍事面に与える影響

 

国家同士の思惑が錯綜する昨今、国のテリトリーや保有資源などにおいても不安定さが高まっています。国や地域の秩序が揺れ始めたことによって、これまで戦争や紛争が起こっていた地域以外にも、争いが起きそうな気配が蔓延しています。

これからの数年、十数年のうちにでも、自国のための軍事用として、世界各国で競い合っている人工知能の技術開発や実用化の技術が使われる可能性はないとはいえません。

2012年に「Stuxnet(スタックスネット)」というコンピュータ・ウイルスが誕生しました。

これはアメリカとイスラエルが共同開発したもので、イランの遠心分離器を破壊するために作られたものです。実際に400台もの遠心分離器を稼働不能にさせました。

使い方によっては核爆弾を破壊するためにウイルスを送り込み他国で爆発させるという“兵器”にもなり兼ねません。

このウイルスに人工知能を持たせることで、意思を持った兵器へと進化する危険性もあるのです。

もちろん、軍事用とする開発時には、人工知能の悪用防止策も当然のように作られるわけですが、堂々巡りとなり、悪用防止策も破られることを前提にした策を重ねていく、イタチごっことなる可能性がないとはいえないでしょう。

しかし、人工知能の悪用防止のために、先進国では人工知能の研究を行っているのです。