1.人工知能がもたらす医療変革とその影響の大きさ

「3%」。これは本来の人間が持つ寿命を全うして死に至る確率。不慮の事故や自殺を除いた残りの91%の死因は依然、4大死因を含む何らかの疾病によるものです。これらの中には地球上で数百人程度と限られた疾患者しか存在していない病気も。そしてこのような発症頻度が低い疾病では充分な研究が行われることなく、原因不明として処理されてしまうことが多々あります。

 

・医療費の高さ

日本での公的医療費は38兆円。国内総所得の10%強をも占めています。アメリカでは、一人当たり日本人の2.7倍もの医療費がかかっており、その比率は毎年上がり続けています。後述する難病の研究や新薬の開発にかかる費用は莫大です。

 

・医者の判断が難しい症例がある

病気を治すためには、適切な診断と適切な治療がなされなければ結果として完治はできません。ですから、診断や治療の時点から、どの角度からアプローチしても断定ができない難しい症例が出てきた場合、今の医学では太刀打ちできない状況もあります。

・解明されてない病気が多い

私たちがよく知っている一般的な病気に関しては、昔から研究されており治療法が見つかっているものも多くあります。その一方で、現在の医学では原因も治療方法も見つかっていない症状も多々あります。事例が少なく、解明されていない病気も多く、家族にそのような病人を持つことで、治療法の目途が立たないばかりか、莫大な治療費が延々とかかる実態もあります。これらの事例が少ない症例のなかでも特に珍しいものを挙げてみたいと思います。

●約10倍もの速さで歳をとる例・・・「早老症:プロジュリア」

新生児・幼年期に発病し、全身の老化が異常な速度で進行する早老症疾患で、400万人に1人とも800万人に一人ともといわれています。

●子どものままで成長が止まってしまう例・・・「X症候群」

4歳の頃から成長が止まり、歳を取らない少女といわれたブルック・グリーンバーグさんがかかっていた病です。主治医によれば、遺伝子スイッチによる成長プログラムへの影響が疑われるということですが、はっきりとしたことはわかっていません。

これらは、ほんの一例ですが、世界から見ると、このような難病にかかった人は一人ではなく、数人~数百人、数千人という人数に達しています。いかに多くの人が多くの難病に苦しめられているかがわかるでしょう。

2.人工知能は何ができるのか。“医療において”

人間の知識や記憶には、限界があります。これまでのすべての疾病データや臨床データを人工知能に与えるだけで、患者の疾病や症状を正確に見つけ出すことができ、その発見スピードも迅速になることが期待されています。人工知能との掛け合わせ診療や治療が行われるようになると、病気の診断の精度が上がり、誤診の確率も大幅に減らせるという、ベストな診療・治療ができる時代がやってくるというのです。

医療費を減らすためには、世界で突出している薬剤費や薬剤開発費(人件費も含む)を減らすことなどが必要になりますが、人工知能が医療に介在することが当たり前になると、人件費や開発費、治療費や薬剤費も大きくカットされる時代がくることが予想されています。

3.医療の変革

人工知能の発展によって、医療の現場のあり方も大きく変わることは間違いありません。医療の新時代はすぐそこまできています。診察での症状特定が即座に行われ、新薬が次々と開発され、難解が完治することや、誰もが平等な治療を受けられることが可能になり、今は考えられないような夢の世界が医療の世界で具現化していくことになりそうです。
日本においても、今抱えている問題、例えば、ますますの高齢化、疾病構造の変化、医療の高度化による医療費の増加、医師不足に伴う病院経営の悪化、地域格差による診療受診の危機などの解消に向けて加速度的に動き出すと、病気に対する受け止め方にも大きな変化が起こるでしょう。