レイ・カーツワイルは人工知能がもたらす未来を「6つの進化段階」に分けました。

その最終段階を「宇宙は覚醒する」と表現しています。

彼が見通す未来では、どのような進化が繰り広げられているのでしょうか。

 

世界に衝撃を与えたレイ・カーツワイルの考える技術的特異点(シンギュラリティ)とは?

レイ・カーツワイルの経歴

人工知能研究の世界的権威、レイ・カーツワイルはどのような人物だったのでしょうか。

レイ・カーツワイルは1948年2月12日、ニューヨークのクイーンズにドイツからのユダヤ系移民の子として生まれ、12歳の時にコンピュータに出会ってから統計分析のプログラミングや作曲に夢中になりました。
高校生でコンピュータに作曲させた音楽を披露し、国際科学フェア第一位を受賞、ホワイトハウスでリンドン・ジョンソン大統領からウェスティングハウス・サイエンス・タレント・サーチ賞を受賞など、当時からその天才ぶりを遺憾なく発揮していました。
その後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)在学中の20歳で起業して以降、数々の発明をしています。
代表的な発明だけでも、

  • オムニ・フォント式OCRソフト、フラットベッド・スキャナー、
  • Kurzweilブランドのシンセサイザー「K250」、
  • 文章音声読み上げマシン(カーツワイル朗読機)

などが挙げられ、優秀な発明に贈られる「ナショナル・メダル・オブ・テクノロジー」「レメルソン-MIT賞」などの世界最高峰の権威ある賞をいくつも受賞しています。その功績が讃えられてアメリカ「発明家の殿堂」にも殿堂入りを果たしています。

 

『The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology』の与えた衝撃

2005年に出版した『The Singularity Is Near:When Humans Transcend Biology』はレイ・カーツワイルを一躍有名にしました。
日本では『ポスト・ヒューマン誕生―コンピュータが人類の知性を超えるとき』と訳され、本書には21世紀は爆発的な生産性向上や科学の進展があり、社会や人間が言い表せないほど目まぐるしく変容する時代が来るといった、当時では考えられないような未来予測が記載されておりました。

例えば2010年代の予測をみてみましょう。

  • 遺伝子、バイオテクノロジーが飛躍的に進化する。自分の細胞を培養する事で人々は若々しい肌を取り戻し、臓器などの身体的な若返りが可能になる。
  • コンピュータは小さくなり、日常生活に統合されていく。
  • 高品質なネットワーク環境が世界中どこでも利用可能になる。
  • 「VRメガネ」などVR=ヴァーチャルリアリティーの発展。

など

いかがですか?

2016年現段階でかなり当てはまる部分が多くあると思います。
そして2045年。レイ・カーツワイルが思い描く技術的特異点にはどのような世界が予想されるのでしょうか。

 

レイ・カーツワイルが考える技術的特異点

今や、IT技術や科学の進化の速さは倍以上の速度で走り続け、ここ30年ほどの間には、億単位のようなケタ違いのスピードで発達すると予測されています。
中でも一段と進化が期待されている分野が人工知能です。その人工知能が人間の知能を上回ると予想されているのが2045年。「技術的特異点(シンギュラリティ)」と呼ばれる時です。

レイ・カーツワイルが学生だった頃、大型コンピュータで処理していたデータが今では携帯の中に納まっているという変化を遂げていますから、今後、指数関数的なスピードで技術が進歩していくと考えられているのです。

また、彼はIT技術の進化と同時に私達人間の変化にも言及しています。

『人間は脳をコンピュータに接続することで、さらに複雑な感情や特質を発達させる』

つまり人間の能力がコンピューターによって進化するということです。

レイ・カーツワイルが、米ニューヨークの文化センター「92ストリート・Y (92nd Street Y)」でのイベント「7days of Genius」で次のように語っています。

『人間の脳に細胞サイズのナノロボットが組み込まれ、インターネッ トで世界全体と繋がることが可能になり、映画「マトリックス」のように、必要な技術をダウンロードできる。プログラムコードを編集と同じように遺伝子を編集するや、病気治癒も可能になる』

また、過去のインタビューでは

「出始めは携帯電話と同じく、一部の人しか技術享受はできないかもしれないが、時間の経過とともにナノロボットは誰でも利用できる段階になっていき、価格が落ち着き、“技術の民主化”が進む」

とも語っています。

 

「宇宙は覚醒する」とは?

冒頭で述べた「宇宙は覚醒する」とは一体どのようなことなのでしょうか?

レイ・カーツワイル氏によると「知性が宇宙空間に広がる物質とエネルギーに飽和する様になり、宇宙に満ち渡る」ということだそうです。

人工知能による知性が物質やエネルギー、宇宙に至るまでをコンピューティングつまりは情報処理を可能にするという考えです。

これにより宇宙全体がひとつの知性体となり、その全てが秩序となり、情報となることが「特異点と宇宙の双方にとっての最終的な宿命なのだ」とレイ・カーツワイル氏は語っています。