1.機械は(人間的な)思考をするか?

 

アラン・チューリングは論文「COMPUTING MACHINERY AND INTELLIGENCE」の冒頭で「機械は(人間的な)思考をするか?」という普遍的な”問い”を掲げた上で、「”問い”の視点を変えてみよう」と提案しました。

何故、視点を変えようと提案したのか。

それは、チューリングは「人間には扱えて」「機械には扱えない」概念があると考えていたからです。
(停止性問題)

つまり「人間を完全に再現する事は不可能」である事が確定している以上、それ以上論じても仕方が無いという訳です。

ですので建設的な議題として、「考え方(プロセス)は考慮せず」、「結果(出力)の正しさに着眼すべき」であると展開しています。

これが後ほどご紹介するチューリング・テストです。

 

 

2.コンピュータの父と呼ばれているアラン・チューリング

 

チューリングマシンによってコンピュータの原型は作られた

コンピュータの父と呼ばれているイギリス人の天才数学者「アラン・チューリング」。

彼がいなければ、今日あるコンピュータの存在はなかったともいわれています。

コンピュータ概念を初めて理論化し、第二次世界大戦中にドイツ軍の暗号“エニグマの解読”をし、
対独戦争を勝利に導いた立役者としての功績が広く知られています。

今日のマイクロソフトやアップルより前に、コンピュータの原型を作った人物のひとりであり、
そのコンピュータは彼の名前から「チューリングマシン」と呼ばれています。

 

 

コンピュータ発想の起点

『脳は神経線維でできていて、人間の心はそれらがネットワークで結びついて生まれている』。

チューリングは幼少の頃に見た科学解説本にあったこの一節に心惹かれ、
コンピュータへ関心を持つきっかけとなりました。

やがてケンブリッジ大学在学時、
1936年に出した「計算可能な数について」という論文の手法のモデルが、
「チューリングマシン」と呼ばれるようになったのです。

 

 

 

3.不可能と言われていたエニグマの解読に成功

 

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Credit:photo-ac.com

エニグマの暗号の難攻不落さ

エニグマというのは、1918年にドイツで発明されてナチスに採用された暗号装置。

解読が難解とあって、敵国の暗号解読者たちにとっては戦争より高い壁だったのかもしれません。
それだけに、ナチスは絶対の自信の上にエニグマの暗号で機密文書を送受信していました。

 

難攻不落といわれたエニグマの暗号でしたが、
イギリス人の天才数学者「アラン・チューリング」によって、
連合軍はエニグマの解読に成功していたのです。

最大の弱点は、「1日の送信量が大量なこと」で、
パターンのサンプルを多く敵側に与えてしまうことにありました。

 

チューリングボンベの仕組み

エニグマ暗号の鍵は、159,000,000,000,000,000,000通り。
この天文学的な数字の中から、たった1つの正解を探すのは、時間的に無理でしょう。

 

そこで登場したのが数学的解決。
ひとつずつ探す総当たりではなく、探索空間をある程度区切って探すことで、
「高速な計算機械により、探索時間も短縮する」というのが、
チューリングをリーダーとする暗号解読チームのとった方法でした。

 

その高速な計算機械を指すのが「チューリングボンベ」というもので、
電気式のアナログ探索装置と呼ばれています。
これにより、気の遠くなる可能性の中から「正解」をほんの15分ほどで見つることが可能になり、
エニグマ暗号の解読は成功したのです。

 

チューリングのすごさ

 

チューリングのすごさは、「科学」と「政治」の両分野で偉業を成し遂げたことにあり、
一つは「チューリングマシン」でデジタルコンピュータの基礎理論に貢献したこと、
二つめは第二次世界大戦で、ドイツ軍の“エニグマ暗号を解読”したことで、
イギリスの勝利に貢献したことでしょう。

その功績をたたえ、世界の歴史に残るような革新的な業績に与えられる賞として、
コンピュータ科学界のノーベル賞といわれているのが、
このアラン・チューリングの名にちなんだ「チューリング賞」になります。

 

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Credit:gumbydream.blog.jp

 

4.チューリング・テスト

 

チューリングテスト

 

1950年、アラン・チューリングは、「機械が考えることができるのか」の試験方法を考え出しました。
それが「チューリングテスト」と呼ばれるもので、例えばこういうことになります。

 

2台のディスプレイの前にそれぞれテストを受ける人がいるとします。
1台のディスプレイには人が回答を、もう1台はコンピュータが回答するようになっていますが、
テストを受ける人にはどちらがどちらかさえわかっていません。
テストを受ける人はあらゆる分野からの質問をし、
どちらが人間、コンピュータなのかを探っていきます。
そのとき、コンピュータがわざと計算に時間をかけるようにしたり、
間違えたりして、人間らしい振る舞いをしたとします。

 

 

そうすると、テストを受ける人が2台のディスプレイにおいて、
どちらが人間か、コンピュータかの区別がつかない場合、
このコンピュータに知能があるという結論を導き出すものです。
しかし、チューリングテストの論文というのは、そもそもチューリングテストという言葉はなく、
人工知能の判定にチューリングテストを提案したこともなく、
デジタルコンピュータが思考できることを示しているだけだと指摘する学者もいるようです。

 

 

 

5.現在に残る功績

 

チューリング賞

 

1966年、計算機科学分野の国際学会「ACM」が創設した賞で、
「コンピュータ科学のノーベル賞」ともいわれるチューリング賞。

長年のスポンサーはグーグルとインテルが務め、
2014年からグーグルが単独となり、賞金額も4倍の100万ドルとなっています。

映画「イミテーションゲーム」
イギリスの俳優、ベネディクト・カンバーバッチ主演で、
イギリスの天才数学者、アラン・チューリングの人生を描いている映画「イミテーションゲーム」。

第2次世界大戦時、ナチスドイツ軍が使用した、
難関不落といわれた“エニグマ暗号”の解読に成功し、
連合国軍であるイギリスに勝利をもたらした功績と、
数学者として、コンピュータ概念を初めて理論化した功績と、数奇な人生を描いた映画です。

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Credit:ja.wikipedia.org

 

100名の最も偉大な英国人

「100名の最も偉大な英国人」とは、2002年、BBC(英国放送協会)が放送したテレビ番組です。

イギリス国内の投票で歴史上最も偉大な英国人を選出するもの。

アラン・チューリングは21位に入っています。
41歳の若さで迎えた死は謎で、検死では青酸中毒による自殺とされたものの、
他殺説や事故説もあり、未だに解明はされていません。

 

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